大企業で働くメリットは多くの方が理解していると思います。
一方で、中小企業で働くことに関しては、デメリットは何となく分かるけど、メリットは分からないという方も多いと思います。
そこでここでは、中小企業で働くことのメリットとデメリットをまとめて解説します。
中小企業で働くメリット
- 若いうちから色々な仕事を経験できる
- 出世が早い
- 会社への貢献が実感できる
- 社長と距離が近い
以下、各メリットを細かく解説していきます。
若いうちから色々な仕事を経験できる
大企業では事務、経理、総務、営業、広報など様々な部署が存在します。また営業部だけでも、一課、二課など、その仕事は細分化されています。
大企業では、細分化された一つの仕事を任されることになります。また若いうちは誰でもできるような雑用しか任せてもらえません。
しかも大企業では半年、一年の長い研修が用意されている企業も少なくなりません。つまり、入社して一年から二年はまともな仕事という仕事を任せてもらえない場合があるのです。
早く仕事を経験して、スキルを身につけたいという人にとって、これほどもどかしいことはありません。
一方の中小企業では、研修はせいぜい一か月程度です。研修がなく入社初日から実際の業務を任される場合もあります。
また大企業のように、たくさんの部署があるわけではありません。営業が事務の仕事の一部を兼任したり、マーケティングや企画を兼任したりする場合もあります。
筆者は社員10名ほどの企業に、WEBディレクターとして勤務していましたが、営業、人事、企画などを兼任していました。
大企業からすると「それって営業事務の仕事でしょ!?」という仕事も中小企業では、営業が行うことがあるのです。
このように入社一年目から色々な仕事を経験できるのは中小企業の大きなメリットです。もちろん大変さもありますが、スキルや経験を積みたい人にとっては恵まれた環境といえるでしょう。
出世が早い
中小企業の説明会に行くと、入社4年目で営業部長を任されていたり、マネージャーを任されていたりと、若いのに役職がついている社員を見かけることがあります。
大企業であれば、結果を出しても上のポストが空いてなければ出世できません。完全実力主義の大企業もありますが、まれです。就活生に人気の大企業は概して年功序列です。
中小企業は、大企業のように「中堅社員が多くて、上が詰まっている」というケースは少ないです。また社員が少ないので社員一人一人の成績も把握しやすくなります。
そのため実績さえあれば、若くても出世させてくれる場合があるのです。
大企業で10年平社員をやるぐらいなら、中小企業で20代のうちに出世したい、という方にとってこれほど大きなメリットはないでしょう。
会社への貢献が実感できる
社員が多く、莫大な額の売上金額を出す、大企業では自分の成果を実感しにくいです。数千万の売り上げを出したとしても、会社全体に売り上げからすると誤差のように思えます。
また業務は、非常に細分化されています。自分の仕事がどれだけ会社に貢献しているのかが分かりづらく、「自分の仕事なんてなくてもいいのではないか?」「自分はこの会社から本当に必要とされているのだろうか?」と、そんな気分になることもあります。
一方の中小企業では、社員数も全体の売上金額も大企業に比べたら低いです。自分の成果で大きな売り上げを出せば、直接数字になって現れます。また社長からおほめの言葉をいただけることもあるでしょう。
会社に貢献している実感は、存分に持てます。
「自分は単なる会社の歯車の一つにすぎないんだ……」と感じることもないでしょう。
社長と距離が近い
大企業の場合、社長や役員は雲の上の存在です。お目にかかれるのは、最終面接と内定式ぐらいでしょう。若いうちには会話を交わす機会なんてありません。
一方の中小企業では、社長や役員は雲の上の存在ではありません。社内で見かけることも、日常的に挨拶をすることもあります。感覚としては一番偉い上司です。
社員が数十名の企業では、社長が新卒の名前をしっかり覚えてくれています。ランチにいくこともあります。実際、筆者が勤務していた企業では、社長が隣のデスクで仕事をしており、毎日のように会話していました。夜な夜な仕事の電話でもらうこともありました。
社長と距離が近いことで、仕事で成果を上げれば直接ほめてもらえます。もちろん叱られることもありますが、大きなやりがいにつながります。自分が会社に必要とされている実感を持てます。また社長の横で仕事や仕事に対するマインドを学ぶことで、大企業の社員よりも早く成長できることは間違いありません。
もちろん中小企業といっても、規模は様々です。企業によっては社長と距離が遠い場合もあるでしょう。それでも大企業ほどではありません。
中小企業で働くデメリット
- 大企業に比べると給与が低い
- 規模の大きな仕事に携われない
- 潰れるリスクが大企業よりも高い
- 会社のネームバリューがない
大企業に比べると給与が低い
大きなデメリットとしてあるのが、給与水準の差です。
やはり大手企業に比べると、中小企業は給与水準が低い傾向にあります。
以下は、大企業と中小企業の給与と賞与(ボーナス)を比較したものです。
年間の給与:330万7千円
賞与:28万8千円
■資本金10億円以上(大企業に相当)
年間の給料:445万7千円
賞与132万千円
このように大企業と中小企業とでは、年間の給与額にもボーナスにも差がでます。
ただし、中小企業でも早く出世できれば、大企業の平社員よりも高額の給与を得られます。またストックオプション制度を設けている企業であれば、企業が上場したり、業績が上がることで、巨額に資産を手に入れられるチャンスもあります。
※ストックオプション
会社が従業員に、自社株式を購入できる権利を付与する制度。企業が上場したり、業績が上がったりし、株価が急激に上がれば巨額の資産を手に入る可能性がある。逆に、株価が下がるデメリットもある。
規模の大きな仕事に携われない
大企業であれば、大きな金額が動く仕事、メディアに取り上げられるような仕事、日本を動かすような仕事に携われるチャンスがあります。
一方、中小企業では、そういった機会は少なく、「大きな仕事に携わりたい」という方にとってはデメリットになるでしょう。
もちろん中小企業でも社会を変えるような仕事をしている企業もあります。Facebook、Google、楽天、サイバーエージェント、メルカリ、ZOZOTOWNもかつては小さな会社であり、小さい時に社会を変えるようなビジネスで、大企業になったのです。
また大企業に入社しても、一緒の個人営業であれば、大きな仕事をした実感をもつことはできないでしょう。
このように、大企業だから大きな仕事に携われる、中小企業は携われない、と一概にいうことはできません。しかし大企業の方が大きな仕事に携わるチャンスが多いのは間違いありません。
潰れるリスクが大企業よりも高い
大企業でも潰れるリスクはありますが、中小企業ほどではないでしょう。
大企業であればたくさんの事業を同時に行っています。楽天であれば、ネットショッピングから金融事業、ホテル予約などたくさんの事業を行っており、ネットショッピングで収益が出なくても、金融事業などで補填して、会社を存続することができます。
一方、中小企業は、大企業ほどたくさんの事業を手掛けているわけではありません。主力事業がうまくいかなくなると、当然、会社の存続も危うくなります。
たくさん事業を行っていたとしても、主力以外は規模が小さく、主力を補填できるほどではない場合がほとんどです。
やはり大企業よりも、中小企業の方が潰れるリスクは高いといえます。
もちろん中小企業のなかには、ニッチな分野でトップの技術力を持っており、長期的に安定した企業もあります。
会社のネームバリューがない
大企業の名刺を持つことは、ある程度ステータスになります。それこそ男性であれば、他の条件で同じであれば、中小企業の社員よりも大企業の社員の方がモテます。親や友人にも社名を伝えるだけで、いい顔ができるでしょう。
一方、中小企業の場合、無名な企業がほとんどです。社名を言っただけではどんな事業を行っている会社なのか、分かりません。友人や家族にいい顔をすることはできないでしょう。
このように所属している会社を自分のステータスとして利用したい方にとっては、中小企業は物足りないでしょう。
また営業に行く時も大企業と中小企業とでは相手の反応が違います。大企業だとすんなり話を聞いてくれるのに、無名企業だとまったく話を聞いてくれない、ということもあります。大企業の看板を背負っているだけで、仕事が円滑に進むこともあるのです。
中小企業といっても規模は様々
ひとことに中小企業といっても、その企業規模は様々です。
例えば、社員が10名程度の小企業と、社員100人の中企業とでは、まったく環境が異なります。
そのためここで紹介した中小企業のメリット、デメリットがすべての企業に当てはまるわけではありません。
中小企業に興味がある方は、説明会に参加して、社員から話を聞いて、しっかり企業を確かめるようにしましょう。
大企業志望でも、一度は中小企業の説明会に参加する
大企業しか興味ない、という場合でも、社会勉強をする意味で中小企業の説明会に参加しておくことをおすすめします。
特に、規模の小さい企業がおすすめです。大企業とはまったく違う環境で驚きます。
例えば、大企業であればエレベーターつきの立派なオフィスがあって、受付の人がいて、説明会は数百人を収容できるホールを借りて実施する、などが当たり前です。
一方、小企業のなかには、マンションの一室のような小さなオフィスで仕事をしている企業があります。説明会も学生が10名以下、小さな会議室で行うなど、大企業とはまったく違う世界があります。
日本に存在する企業の99%は中小企業です。普段目にする大企業は、日本に存在する企業の、ほんの一部にすぎないのです。日本を支えているのは、99%の中小企業なのです。
就活は、中小企業を見学できたり、社員の話を実際に聞ける絶好のチャンスです。大企業だけ見て終わらせてしまうのはもったいないといえます。実際に志望するかどうかは別として、中小企業の話も聞いてみることをおすすめします。